もりのせいかつ 別館

銀河が好き。撮影日誌と画像処理の試行錯誤、ときどき料理の記録なども。

Niwaさんの個展へ

博士と夫と3人でお邪魔しました。

 

Niwaさんに「天体写真を仕上げる時は、自分目線・他者目線どちらですか?」と伺ったら「他者目線です!」と断言して下さいました。

他者目線と言っても、人におもねるのではなくて、自分の画像がどう見えるか客観視するという意味ですね。

独り善がりにならず、人に見せる(魅せる&知らせる)事を明確に意図された天体写真は美しく、一枚一枚の完成度が高い。

 

既に多くの方が記事を書かれているので、以下には私の質問への御回答などを書き留めておきます。

 

Q1.  今回の作品群を選んた理由は?

→宇宙の不思議を感じて貰えそうな画像を選びました

 

Niwaさんが個展開催を通して感じられたのは、"天体写真は、見る人への解説が必要"という事だとか。確かにどの作品も、初見で驚き、解説によって「ああ、そうなんだ」と理解が深められそうです。

 

Q2.  ほ座レムナントの、星消し・モノクロのアイデアは何処から?どちらが先?構図の拘り点は?

→星消しと(SXTを使われたそうですが)モノクロ化とどちらが先だったか・・・構図はこの辺り(細かなモヤモヤ)とか、この辺り(丸いバブルのような部分)を入れたいなと思って

 

私の愚問でした^^; こういうのは直感的というか、Niwaさんのセンスのなせる技なのでしょうね。絶妙な構図にも唸りました。"アーティスト"とはそういう事。

 

Q3. モニター用に処理した画像を大きくプリントする際の拡大プロセス、それに伴うコントラストやシャープ処理について。常々私のデータをA4プリントにすると、低コントラストのぼんやりした印象になってしまいがちなので、伺ってみました。

→解像度やシャープ処理については、モニター用処理から変更無し

 

これは意外でした!が、考えてみればASI1600MMは4656×3520pixelで、一番大きなパネルは8枚モザイク、魔女の横顔星雲は2枚モザイク、M83はdrizzleと、元データの時点でプリントに十分な画素数があったのですね。画素数だけでなく、長大な露光時間も解像に貢献しているのかも。

今回A3だったイータカリーナや小マゼランも、未だ伸ばせる余裕がありそうに見えました。

 

関連して、ノイズリダクション(NXT)については、モニター用の処理のままプリントすると背景のザラつきが目立ったので、強めにかけ直したそう。強めと言っても副作用や破綻は全く見えませんでした。露光時間も効いているのでしょう。

 

また、階調調整や(初めは星の中心や小さい銀河が潰れてしまったとか)カラー調整については、FLATLABOに直接出向かれて技術者の方へレクチャーもするなど、半年を費やされたそうです。

 

Q4. 今回グループ展でなく、個展にしたのは?

→写真展は決めなくてはならない事柄が多過ぎて(例えば、解説プレートの大きさや色、フォントですら)、それを一つ一つ話し合って行くのには時間がかかる。初めてでもあり、とりあえず一人でやってみました

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天体写真を撮らない方やお子さんが、M83周囲の小さな銀河に着目してくれたというお話。小さい銀河の表現は、Niwaさんがプリントで拘られた所でもありますが、一般の方も関心を持たれるなら、アノテーションVer.も面白そう。

 

魔女の横顔星雲は、敢えて南北逆転させ魔女の顔らしく、更にHαデータの赤を加えて禍々しさも表現。

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自分はどんな天体写真を撮りたいのか?改めて考えさせられる機会にもなりました。

Niwaさん、お時間をとって頂きありがとうございました<(_ _)>